[経営学科]学生ライターによる授業レポート_経営基礎ゼミナールⅠ(その2_遠隔授業)
今回も経営基礎ゼミナールⅠの様子を引き続きお届けします。前回の記事はこちらから( https://www.comm.fukuoka-u.ac.jp/news/869/ )
これまで対面で行ってきた本講義ですが、前回と大きく変わった点が一つ、現在は感染拡大の影響を受け、遠隔講義に移行しています。講義がオンライン化したことにより、教員と学生共に、もちろんSA(Student Assistant)の私も多くの気付きや学びがありました。今回はそのことも含め、お届けしたいと思います。
まずは講義の様子から。現在は引き続き経営分析ワークをチームで進めています。その内容はウェブサイトや有価証券報告書などをもとに会社の規模、主な事業、企業の目指すところ、歴史的経緯など、その企業を特徴づけるような情報を集め、どのような企業かを研究し、説明するものです。最終的にはグループ研究の中で得た情報や考え、結論をスライドにまとめ、期限内に提出することが求められます。
写真①オンライングループワークの説明スライドより。
大学は研究ができる場所です。自分達で問いを立て、データを集め、そのデータから問いへの答えを考え、結論を示す。このような研究活動のプロセスで学べることは社会に出てからもビジネスや実生活など、きっと色々な分野で応用できると思います。研究活動自体が初めての1年生、今回のグループワークは1年生を研究活動の入口に立たせるような取り組みだと言えるでしょう。
オンラインでのグループワークも1年生にとっては初めての経験となりました。初めて使うビデオ会議ツールの操作に少し苦戦しつつも、自分達なりに考えて対応していました。何か不具合があった時に教員やSAに対して報告しつつ、自分でも解決しようと手を動かしており、講義に対する素晴らしい姿勢が見られました。
グループ研究中、ビデオ会議ツールの機能である画面共有やPowerPointの共同編集を駆使しながら、1つのスライドを完成に近づけていきます。遠隔という状況でも、1年生はこの講義を通してこのようなツールをうまく使う力がどんどん身に付いているのです。
このコロナ禍で会社の働き方も大きく変わりました。今でもリモートワークを実施している企業は多く、この力は社会に出てからもきっと役に立つでしょう。
写真②慣れない状況でも皆しっかり聴いています。画像ではwebexですがzoomへ移行しました。
オンラインでの活動においての大きな課題はやはり、コミュニケーションです。ちょっとした発言も対面より緊張し、遠慮してしまったり、対面であれば視線や相槌など、相手の細かな反応を見ることができますが、オンラインでは難しかったりと、今もまだ多くの人が試行錯誤の途中だと思います。
しかし、だからこそこのオンライン化は、コミュニケーションのとり方自体を考える機会となりました。講義を受けている1年生からの意見に「自分が思っている以上に情報が伝わっていないことに気付いた、これを解決するためにはグループの他の人に自分が作ったものを見てもらい、確認をすべきだと思った。」というものがありました。
未完成のものを誰かに見てもらうという行為自体、研究活動において大事な姿勢であり、非同期での活動での留意点に気付き、対応し、より良いものが作れるように学んでいるのです。
(注)学びのスタイルには「同期」と「非同期」があります。同期とは対面授業やリアルタイムの遠隔授業をさしています。非同期とは、予習・復習やオンデマンドの遠隔授業を指しています。withコロナの大学教育では「非同期」の学びの可能性に注目が集まっています。非同期の学びでは知識の修得や理解、同期における学びのブラッシュアップが行われます。withコロナの大学教育は、同期・非同期の特長に応じて授業計画が策定される容易なってきています。
新しい取り組みとして、担当教員2人(篠原、藤野)によるラジオコンテンツ、『ザ・マジオ』も始まりました。本講義を受けるうえでのヒントやお役立ち情報を配信しています。講義に関連したお頼りや質問を募集したり、ゲストを呼んだりと、ラジオっぽいこともしており、講義以外の好きな時間に聴くことが出来ます。
写真③『ザ・マジオ』、私も聴いています。
このように、経営基礎ゼミナールⅠでは遠隔講義という形を取っているものの、非同期な学習でもより良いものにするべく、教員、学生共に新しい学びのスタイルに挑戦しています。
写真④『ザ・マジオ』のピックアップ・コメント(学生からのミニッツ・ペーパーの内容です)
大学は自ら学ぶ場所です。この遠隔講義という状況をポジティブに捉え、自分で学習環境を構築できるようになると尚いいですね。
(注)経営基礎ゼミナールⅠは「予習(非同期)」「授業(同期)「復習(非同期)」という授業設計を行っています。「予習」では企業分析のための一次資料・二次資料など情報の収集を行い、「授業」では、リアルタイムだからこそ可能な学生同士のディスカッションや教員への相談、教員からのアドバイスなどが行われます。「復習」では『ザ・マジオ』を通じて授業での論点や研究における着眼点などについての学びが行われています。学生自身の学習を起点に学びが深化することを期待しています。
対面講義が出来ないという悔しさや残念さは1年生の皆さんや教員も感じていると思います。ですが、オンラインだからこその学びや気付き、身に付く能力はたくさんあります。
1年生の中にはもう既にこの状況に順応し始め、主体性を持って取り組んでいる学生が何人もいます。
出来ないことを嘆くよりも、今できることをより良いものにしていく、そんな姿勢でいることが学びを途切れさせないために大切なことではないかと思いました。
取材・執筆 Student Assistant 高野麟太郎