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経営基礎ゼミナールで特別講演・特別授業を実施しました

 経営学科では、学生が社会や企業の実務に触れながら学びを深める機会として、経営基礎ゼミナールを中心に外部講師を招いた講演や特別授業を実施しています。授業では、AI 時代における人間の生き方や価値観について考える講演のほか、広告やマーケティングの実務に関する講義が行われました。学生たちは第一線で活躍されている講師の方々の話に真剣に耳を傾け、社会の変化や企業活動の実際について理解を深める貴重な機会となりました。

 以下に、講演・授業内容についての学生レポートを掲載します。

~「価値の発見とコミュニケーションデザイン」 九州博報堂講義~

 第9、10、11回の授業では、九州博報堂さんをお招きし、「価値の発見」をテーマにご講演いただきました。講演が始まる前には、グループで「プライミング」を行い、今持っている情報や考えを共有することで、講義の内容をより深く理解することができます。

 授業では、まず「マーケティングとは何か」について学びました。町中の写真を見ながら、そこに隠れているマーケティングを探すワークでは、学生たちが積極的に発言しており、中には人々の行動もマーケティングにつながっていることに気づいた学生もいました。

 また、マーケティングの歴史についても学びました。1950年代に始まったマーケティングですが、商品やサービスが不足していたため、製品そのものが中心に置かれていました。しかし、時代が進むにつれ,顧客や人間のニーズが重要視されるようになり、現在では「社会にとって価値があるもの」が売れるようになりました。

 現代社会は日々進化し、変化しているため、その変化に対して瞬時に価値を発見し、対応していくことが大切だと学びました。

 講演の最後には質疑応答の時間が設けられ、マーケティングによる九州博報堂さんの具体的な仕事についての質問が寄せられました。実際に働いている方の話を聞くことで,マーケティングについて理解を深めることができました。

(担当:内田楓)

 別の回の授業では、広告制作における「価値」と「表現」の関係について、博報堂が実際に手がけてきた事例をもとに学びました。広告の仕事は、クライアントの課題や目的に対して,「What to say(何を言うか=コンセプト)」と「How to say(どう言うか=表現)」を明確に分けて考えながらも、その二つを行き来しつつ,最終的なアウトプットをつくり上げていくプロセスであることが紹介されました。世の中の人が目にするのは完成した広告だが、その裏側では試行錯誤が繰り返されていることが強調されました。

 川崎ハウジングやトヨタの「白いクラウン」、グランドメゾン、油山平成御廟といった事例を通して、ありふれたコンセプトであっても表現を工夫することで魅力的な広告になる場合や、逆に優れたコンセプトであればシンプルな表現でも十分に伝わる場合など、広告にはさまざまな構造があることを学びました。また、「おんせん県おおいた」の「シンフロ」や大名小学校の事例からは、強いコンセプトが人の心を動かし、話題や共感を生み、結果として社会に影響を与える力を持つことが具体的に示されました。

 さらに、広告業界における「成功」とは、広告賞を受賞することだけではなく、クライアントの商品やサービスが実際に売れたり、多くの人に話題として取り上げられたりするなど、世の中が動くことにあるという話も印象的でした。広告が社会や人々の行動にどのような影響を与えるのかを考えるきっかけとなる、実践的で学びの多い授業でした。

(担当:坂井里帆)

「AI 時代の道しるべ ― 薄幸の時代の生き方 ―」妙心寺退蔵院 松山大耕和尚講義

 第13回の講演では、臨済宗妙心寺派・退蔵院副住職の松山大耕氏を講師に迎え、AI 時代における人間の生き方や不安との向き合い方について、仏教・禅の視点から多角的な講話が行われました。妙心寺は約650年前に創建された禅宗寺院であり、全国に約3,400の末寺を持ち、46の塔頭(子院)から構成されています。松山氏はカトリック系の学校でキリスト教を学び、東京大学および大学院で学修するなど、仏教に限らず多様な宗教・思想に触れてきた経歴をお持ちです。また、長野県飯山市にある正受庵において、観光客がほとんど訪れない環境の中、毎日の托鉢のみで生活を続け、地域の人々に安心感を与える存在として修行を重ねてきた経験が紹介されました。

 修行の厳しさについても触れられ、12月1日から8日までの一週間を一日と見立て、一睡もせずに読経を続ける修行や、午前3時に起床し、睡眠時間が1日3〜4時間程度という生活について語られました。こうした実践は、日常の掃除や作務と同様に禅における重要な修行であり、「禅る(ぜんる)」という言葉で表されるように、生活そのものが修行であることが強調されました。

 また、心と身体の関係について、特に呼吸が感情に与える影響が指摘されました。成人男性の肺活量は約5リットルありますが、普段の呼吸で使われているのはペットボトル1本分程度、すなわち約10%に過ぎないとされており、呼吸を意識することが心の安定につながると説明されました。禅は経典や言葉よりも実践や体験を重視する宗教であり、「なぜそうするのか」「どうしてそうなるのか」を自分自身で考える姿勢が大切であると述べられました。さらに、言葉の内容が他者からの信頼にどれほど影響するかについても言及がありました。

 AI 時代の特徴として、人間はゴリラなどの動物とは異なり、「自分がいずれ死ぬ存在であることを知っている」点が挙げられた。この死の自覚こそが不安を生み出し、宗教の役割はその不安を和らげることにあると説明された。しかし、不安そのものから完全に逃れることはできないという前提に立ち、その受け止め方が重要であるとされた。ソクラテスの思想にも触れつつ、「何を最も尊重すべきか」を問い続ける姿勢の重要性が示された。

(担当:野崎穂乃花)

 今回の授業では、妙心寺退蔵院より松山大耕和尚をお招きし、「AI 時代の道しるべ~薄幸の時代の生き方~」をテーマにご講演いただきました。急速に進化する AI 社会の中で、私たちがどのように生きていくべきかについて、仏教的な視点も交えながらお話しいただきました。

 講演では、AI との共存の在り方や、物質的な豊かさだけにとらわれない「幸薄の時代の生き方」について触れられ、現代を生きる私たちにとって大切な価値観について考える機会となりました。学生たちは真剣な表情で耳を傾け、自身の将来や社会との関わり方について思索を深めている様子でした。

 講演の最後には質疑応答の時間が設けられ、しっかりと質問する学生の姿が見られました。質疑応答では、AI 社会の将来像に加え、話題となっている南海トラフ地震は起きるのかといった問いも挙がり、学生たちの社会的関心の高さがうかがえました。

 本講演を通して、AI 時代においてどのような価値を見いだし、自分自身の軸を持って生きていくことが重要なのかを学ぶ貴重な機会となりました。

(担当:香月結衣)

 これからも基礎ゼミナールⅠでは外部講師の皆様からさまざまなお話を伺って行きたいと思います。

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