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[経営学科]学生ライターによる授業レポート_経営入門(その2_YOHAKU-DESIGN 西田明紀さま)

7月12日(火)の経営入門(担当:樋口あゆみ)では、ゲストスピーカーを招いた講演会が行われました。今回のゲストスピーカーは合同会社YOHAKU-DESIGNの代表である西田明紀さまです。講演ではご自身のキャリアを振り返りながら、変化の激しい現代での働き方についてお話しいただきました。その様子をお届けします。 

西田さまは大学卒業後、外資系IT企業、地域密着型の企業、ベンチャースピリッツを持ったオーナー企業など多彩な企業で勤務されました。リクルートエージェントでの転職支援や九州電力でのダイバーシティ推進を目的とする組織風土改革の経験を活かし、現在は、より多様化する組織課題や働き方の支援を行う合同会社YOHAKU-DESIGNの代表を務められています。 

西田さまが初めて転職された十数年前は、今よりもさらに転職のハードルが高かったことは想像に難くないですが、ご自身は転職に対する不安はなかったそうです。それは初めての勤務先である日本IBMでの経験と、教育心理学者クランボルツが提唱した「プランド・ハプンスタンス理論(計画的偶発性理論)」によるところが大きいとのことです。 

日本IBMでは「キャリアは自分で作るもの」という考え方が浸透していました。日本企業では新入社員がそろって研修を受け、企業側が用意したカリキュラムに沿って学ぶことが一般的です。しかし日本IBMでは自分に必要な研修を選択する形式で、主体的なキャリア形成が求められます。1つの企業に依存せず自分でキャリアを選択するといった西田さまの考え方は、こういった経験から形作られています。 

また、日本IBMでは、企業がキャリアパスを示してくれません。ですから自分の興味がある仕事があるときは、自分の能力を客観的に把握して売り込むことも必要です。西田さまが転職に対して不安はなかったとおっしゃったのは、日本IBMでのこのような働き方を経験されていたからでしょう。日本では謙遜を美徳とする人が多いので、経験や能力を自分からアピールすることに抵抗があるかもしれません。しかし、働くということは自分の経験や能力を有償で提供するということです。例えば西田さまが日本IBMの次に入社したリクルートエージェントでは、ご自身のUターン転職の経験を活かしてUIターン転職支援サイトを立ち上げられています。このように自身の経験や能力から何を提供できるかという心構えを持つことで、新しく飛び込んだ業界でも活躍することができます。 

「プランド・ハプンスタンス理論」は変化の激しい時代におけるキャリア論です。従来のキャリア論は事前に定めたゴールに向けてキャリアステップを計画し、実行しようとするものでした。「プランド・ハプンスタンス理論」ではキャリアの8割が予期しない偶然によって形成されると考え、偶然の出来事をキャリア形成に役立てようとするのが特徴です。 

「プランド・ハプンスタンス理論」は未来が予測できない現代のキャリア形成に適しているだけでなく、やりたいことがないという人にもぴったりの考え方です。西田さまの場合、初めから働き方の支援をご自身の業務にしようと計画したわけではありませんが、好奇心をもって様々な業界の仕事にチャレンジし続けたことが、今のキャリアにつながっています。 

大学1年生のころから様々な業界の風土やキャリア形成についてお話を聞けるのは、自分が大学でやりたいことを考え直すきっかけになります。3年生である筆者にとっても、就活に対する漠然とした不安が取り払われましたし、初めて知った「プランド・ハプンスタンス理論」によって、目の前のことをまずは全力で頑張ろうと前向きになることができた良い機会でした。 

次回の記事では、株式会社Strolyの取締役副社長兼COOである桑原彩さまの講演の様子をお届けします。好きなことを続けているうちに一つの線になるというキャリア観は西田さまのお話とリンクしている部分が多いので、興味を持った方はぜひご覧ください。 

取材・執筆 Student Assistant 商学部経営学科3年 星七海

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