[経営学科]学生ライターによる授業レポート_経営基礎ゼミナールⅠ(その2_株式会社九州博報堂様)
経営基礎ゼミナールⅠでは、6月8日(水)から3回にわたりゲストスピーカーをお招きした講演会が行われました。
今回のゲストスピーカーは公開当時非常に話題になった『シンフロ』など魅力的な広告を手掛ける株式会社九州博報堂のクリエイターのみなさんです。
1回目(6月8日)はマーケティングに携わる松本裕介(地域活性化フェロー)様から価値の発見の仕方についてお話していただきました。
商品が持つ価値やコンセプトを九州博報堂では「What to say」と表現されています。お話を伺うまで商品の価値とは商品が持つ機能や特徴のことだと考えていました。しかし、価値があるとは交換価値があること、つまり消費者に買いたいと思ってもらえることだとお聞きして納得しました。
商品に特別な機能があったとしてもそれが時代に合っていなかったり、独自性がなかったりするとその商品を選んで買ってもらうことはできません。消費者目線で商品を見つめなおすことで初めて商品の価値がわかります。だから九州博報堂では価値を「どのように伝えるか」の前にまず「価値は何か」を考えるのです。
2回目(6月15日)はクリエイティブディレクターである福嶋毅(クリエイティブ局長)様とアートディレクターである中島淳志(アートディレクター)様に「How to say」、広告の表現方法についてお話ししていただきました。
広告は価値を発見し、伝えることで人を動かすことを目指しています。人を動かすとは商品でいえば広告を見た人に商品を買ってもらうということです。どんな人をターゲットにするか、ターゲットにどんなイメージを持ってもらいたいのか、さらにどう表現すればそれが実現できるのかを考え、表現方法を工夫するのがお二人の仕事です。
たくさんの事例とともにその工夫を紹介していただきました。
3回目の(6月29日)はコピーライターでCMプランナーの久冨和寿(クリエイティブディレクター)様に「価値の言語化」についてお話していただきました。
コピーライターと聞くと「なんかセンスある言葉を書く人」みたいなイメージがありませんか?しかし久富さんによるとすべてのコピーには「作戦」が含まれているそうです。
ゲームセンター楽市楽座の事例でみてみましょう。
2回目の講演内容を振り返ると広告の最終的な目標は人を動かすことです。この事例では今までゲームセンターをあまり利用していなかった人にゲームセンターを利用してもらうことが目標とされました。ゲームセンターは教育的によくないというネガティブな印象を持たれがちであったため、小さな子供がいる家族の利用が少なかったのです。そこで、楽市楽座ではターゲットは小さな子供がいる家族に絞られました。
こういった「作戦」のなかで生まれたのが「遊びもバカにできないぜ」というコピーです。今は遊びが仕事になる時代、遊びを通じて楽しく学ぶことができるというメッセージを発信したのです。このコピーを元にした家族向けのイベントは大盛況で広告の目標は達成されました。
コピーに含まれる「作戦」とは目標を達成するには誰にどんなメッセージを伝えればよいのかを戦略的に考えることと言い換えられるかもしれません。
3回の講演で価値や広告に対しての認識が覆され、たくさんの学びがありました。また普段何気なく目にしている広告はいろんな人の仕事で成り立っているという当たり前のことに気が付いて感動しました。
ぜひ皆さんも広告にどんな価値をどうやって伝えようとしているのかを考えてみてください。きっと世界が広がるはずです。
取材・執筆 Student Assistant 商学部経営学科3年 星七海