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[経営学科]学生ライターによる授業レポート_経営入門(その1_マイコーピング株式会社 徳政憲和 様)

6月21日(火)の経営入門(担当:樋口あゆみ)では、ゲストスピーカーを招いた講演会が行われました。 

今回はその様子をお届けします。 

今回は、マイコーピング株式会社代表取締役社長である徳政憲和さまに講演をしていただきました。講演では、徳政さまの経歴をたどりながら現在のビジネスのキーワードとなるグローバリゼーション、プロダクトライフサイクル、株主価値経営、クラウド(注:言葉の説明がページの下段にあります)について解説いただきました。 

徳政さま

徳政さまは大学卒業後、コニカミノルタでの新規事業の海外営業担当として、中東・アジア地域の市場開拓に力を尽くされました。そのなかで、ビジネスのあり方が時代によって大きく変化していく様子を目の当たりにしたそうです。 

当時コニカミノルタでは、写真フィルムなどの写真関連用品を取り扱っていました。しかしデジタルカメラが急速に普及したことによって、写真フィルムの需要は減ってしまいました。新しい技術によって既存の産業が衰退するという現象は昔からありますが、現代ではそのスピードは上がっています。この事業環境の変化の速さについていくことが必要だと直感して、徳政さまはIBMビジネスコンサルティングサービスに転職。そこで培ったコンサルとしての実力を買われ、IBMの後に勤められたアドビでは、経営全般の統括として勤務されました。 

その後、育児による生活スタイルの変化や社会貢献したいという気持ちが大きくなったことから、マイコーピング株式会社を起業されました。マイコーピング株式会社では、個人の“悩みやすさ”という特性につながる思考のくせを変えるために、認知行動療法を元にしたカウンセリング事業を行っています。ご自身が認知行動療法によって過度な不安から解放された経験が、この事業を始めるきっかけとなったそうです。 

今回の講演のメッセージは「自分が納得できるキャリアを作るには、時代の流れを知ることと、自らの声を聴くことの両方が必要である」ということ言葉に凝縮されていると思います。 

20年前には登場すらしていなかったクラウドが現在では当たり前に使われているように、ビジネスの世界は目まぐるしく変化しています。このような時代の変化に常にアンテナを張っていなければ、私たちは時代に取り残されてしまいます。しかし時代の変化だけを追いかけていても、うまくいきません。ここで重要なのが自らの声を聴くこと、言い換えれば自分なりの信念を持つことだそうです。 

徳政さまの場合、不安で苦しんでいる人に認知行動療法を広めることで社会貢献がしたいという「自らの声」と、クラウドの活用によって効率的に事業を行うことができるという「時代の流れ」を掛け合わせて、起業というキャリアを選択されました。マイコーピング株式会社の事業が成長し、かつ徳政さまご自身が満足感を得ることができているのは、この2つのバランスが取れているからでしょう。 

読者の皆さんも、これから受験校の選択や就職活動など自分のキャリアを選択するタイミングがあると思います。そんなときは「時代の流れ」と「自らの声」の両方に目を向けてみてはいかがでしょうか。 

取材・執筆 Student Assistant 商学部経営学科3年 星七海 

(ことば)

グローバリゼーション

ヒト、モノ、カネ、企業などの移動が盛んになり、地球規模での一体化が進むこと。徳政さまは海外での営業中に出会った、一見グローバリゼーションと関わりがなさそうな人であっても海外から商品を仕入れて販売しているのを見て、グローバリゼーションが一般化していることに気が付いたそう。 

プロダクトライフサイクル

製品が開発されて市場に導入され、普及成長し、成熟し、やがて別の製品に押されて衰退するという一連の経過を、売上高と利益の推移でとらえたもの。本文中の例では、写真フィルムはデジタルカメラに押されて衰退しました。 

株主価値経営

株主から調達した資金を効率よく運用し、株主価値を最大化する経営。徳政さまがIBMに勤務されていた当時、もっとも重要視されていた観点です。 

クラウド

インターネット上の複数のサーバーを利用して、ソフトウェア、データベースなどの膨大な資源を活用するサービス。マイコーピング株式会社のシステムもクラウドを活用しています。

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