教授の研究内容について教えてください。
企業や産業が今日のように急速に多様化、高度化する中で、企業行動や産業組織の研究は、伝統的な分析手法では対応できなくなってきています。そこで、従来軽視されてきた、技術的に非効率な生産を明示的に考慮するモデルにより、実証分析が行われるようになっています。この為に用いられる手法には、DEA(Data Envelopment Analysis、包絡分析法)やSFA(Stochastic Frontier Analysis、確率的フロンティア分析)があり、既に幾つかのバリエーションが開発され、企業行動や産業組織の解明方法に新たな視点を与えています。このことを踏まえ、私の研究では、特定の企業・産業・公益部門に焦点をあて、DEA・SFAと経営学・経済学の概念を関連づけて、政策的な含意(インプリケーション)を導くことを目的としています。具体的には、次のようなテーマで研究を行っています。

 

1. 金融機関の効率性、規模の経済性および生産性変化
2. 地方自治体や公益企業の分析
3. DEAやSFAの推定結果に経営学的・経済学的な解釈を与える研究
4. ネットワーク型DEA
5. 環境経済の研究
これまでの研究成果は、European Journal of Operational Research、Journal of the Operational Research Society(英国のOR学会誌)などの国際的な査読付き学術雑誌に掲載されています。
ゼミの研究内容について教えてください。
博士論文の指導では実証的な研究のほか、DEA・SFA手法の拡張なども可能な研究テーマになります。
修士論文作成のための演習では、主に実証研究(統計ソフトの使い方を含む)の指導を行います。学生は興味ある企業・産業・部門を選んで、効率性・生産性分析を、DEAやSFAにより行います。DEAとSFAは、それぞれ数理計画法、回帰分析の応用手法なので、論文作成にはこれらの手法を理解することが必要となります。そこで、オペレーションズ・リサーチ講義では、数理計画法や回帰分析を中心に講義を行います。これらの数理・統計手法に関しては、初歩的なところから始めるので、専門的な知識を持っていなくても構いません。手法の整理を行いながら,一年間かけてじっくり学んでください。絶対にマスターするという意気込みで講義を受講されることを望みます。
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