アドベンチャーの可能性に迫る
三期生 安田真菜
どこまでも自由。アドベンチャー
アドベンチャーゲームと言えば何を思い浮かべるだろうか。
アドベンチャーというゲームジャンルの幅は広く、「かまいたちの夜」といったサウンドノベルから「ときめきメモリアル」のような恋愛シミュレーションまで、同じジャンル扱いになる。
さらに『ファミ通ゲーム白書2021』で、下記のように述べられている。
時代が変わりゲームがよりリアルになり、ジャンル分けも細分化されている。(中略)メーカーによって表現を変えたり、複雑化も起きている。
(『ファミ通ゲーム白書 2021』, 株式会社角川アスキー総合研究所, 2021/7/15, p.90)
そこで、ジャンルが細分化されてきた経緯を調査し、現在どのようなジャンル傾向があるかを整理したいと考えた。
今回の調査結果を通して、いつから細分化され始めたのか、細分化されたアドベンチャーの中でもゲーム内容でいくつ同じジャンルに分類できるのか、といったユーザーの需要状況や新しい組み合わせを検討するための基礎的なデータを取得していきたい。
この記事での分析対象は『ファミ通ゲーム白書2021』p.97ページに書かれてあるアドベンチャーページのみである。そのため、p.115、p.117ページに書かれてあるような女性向けゲームや美少女ゲームのアドベンチャー製品を除いて、p.97ページに含まれている製品のみを対象にし分析していく。さらに『ファミ通ゲーム白書2020』には、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」といった「ファンタジー、アクション」ジャンルとなっているオープンワールド系の製品は「アクション・アドベンチャー」として表記されていたため、今回の分析対象には含まない。
その上で、アドベンチャー市場のジャンル細分化やメーカーによる表現変化の実態からアドベンチャー市場が売れるチャンスはどこにあるのか、考察していく。
派生していくゲームジャンル
アドベンチャーが細分化され始めたのはいつからか。それを調べるべく、『開発生産性のディレンマ デジタル時代のイノベーション・パターン』と『ストーリーのつくりかたとひろげかた』に書かれてある細分化に至るまでの経緯を取り上げてみる。
『開発生産性のディレンマ デジタル時代のイノベーション・パターン』には、下記のように述べられている。
ジャンル初製品から、一定の年数が経ってから、ミリオンセラーとなる製品が発売され、ジャンルが確立したと見なせるパターンである。これには、アドベンチャー、恋愛シミュレーション、対戦格闘アクションが該当する。(中略)ジャンル初製品は先鞭をつけたが、それが市場で広く認知されるには至らなかった。だが、それとは別個に開発、発売された製品が、プラットフォームの技術変化の影響などもあって、ミリオンセラーとなるほど優れた製品となり、シリーズ化された。
(生稲史彦,『開発生産性のディレンマ デジタル時代のイノベーション・パターン』, 2012/2/25, 有斐閣, p.176, 178)
ミリオンセラーになるほどに売れた製品だったからこそ、アドベンチャーや恋愛シミュレーション、対戦格闘アクションというジャンルが誕生したのだ。
ここからアドベンチャーという括りでは言い表せない、新しい要素で構成されているゲーム内容だったからこそアドベンチャーという枠組みから外れたジャンルが確立されていったのではないかと推測する。現在でもアドベンチャーの中でジャンルの細分化や複雑化が進む流れを作ってしまった原因は、売れた製品のジャンルを新しく名付けた製品がシリーズ化までもされてしまい、世間に新たなジャンルとして浸透したことにあるのではないだろうか。
ところで、アドベンチャーと呼ばれるジャンルはいつ誕生したのだろう。知らない方もいるかもしれないが、実は日本におけるアドベンチャーの歴史は約40年前にまで遡る。『GameBusiness.jp』に下記のように述べられている。
日本での本格的なADVの紹介は、「月刊アスキー」1982年4月号です。本書には1ページに渡るADVに絞った記事があるのに加え、日本初のADV『表参道アドベンチャー』が掲載されており、日本のADV史において転換点といえるものでした。(中略)1996年には(中略)「ビジュアルノベル」という新たなジャンル名をまとい『雫』、『痕』がリリース、そして翌年には『To Heart』が生み出されました。『Kanon』や『Air』『シュタインズゲート』や『ひぐらしの鳴く頃に』(中略)のようにヒット作が生まれていくことで、90年代末にはジャンルとして定義されたことが説明されました。
( GameBusiness.jp,ビジュアルノベルはいつ成立し、そして現在に至るのか? ストーリーゲーム研究家・福山幸司氏が解説する歴史 URL, 2022/3/17)
日本でアドベンチャーというジャンルが誕生したのは約40年前の1982年である。先程も述べたように、ミリオンセラーともなるヒット作が生まれるとジャンルとして確立される。『雫』、『痕』、『To Heart』といった製品も、後に述べる※¹サウンドノベル第1弾の『弟切草』、1994年にサウンドノベルの第2弾の『かまいたちの夜』を発売し、「サウンドノベル」が新たなジャンルとして確立した流れと似通っている。『雫』、『痕』、『To Heart』といった製品に影響を受けた多くのゲーム会社が、ゲーム要素の一部を取り入れて『Kanon』や『Air』、『シュタインズゲート』や『ひぐらしの鳴く頃に』といった製品でバラエティ豊かな展開をしていったことで、人気を博していき「ビジュアルノベル」と呼ばれるジャンルが誕生した。
これまで、ジャンル名がどのように生まれるのかについて述べてきた。この流れを踏まえた上で、新たなジャンルの名はどうやって誕生してきたのかについて分析していく。
アドベンチャーのジャンルが誕生したのは1982年だと分かったが、今ではアドベンチャーから派生して多くの新ジャンルが誕生している。その例として株式会社スパイク・チュンソフトの『かまいたちの夜』を挙げる。この製品は、アドベンチャーではなく「サウンドノベル」と呼ばれているのだが、このジャンルはアドベンチャーから派生してメーカーが名付けたのだ。『ストーリーのつくりかたとひろげかた』には下記のように述べてある。
『弟切草』はグラフィック事態は簡素に作られているが、その代わりにスーパーファミコンのサウンドチップを活用した音の表現にこだわった作風を押し出したので、自らのジャンルを「サウンドノベル」と標榜した。そしてサウンドノベルの第二弾『かまいたちの夜』がさらにジャンル確立の決定打となり、サウンドノベルから影響を受けた多くのフォロワーが九十年代中頃から続々と作られた。それらは大枠では「ノベルゲーム」や「テキストアドベンチャー」、「ビジュアルノベル」などと呼ばれている。
(イシイジロウ, 『ストーリーのつくりかたとひろげかた』, 株式会社講談社, 2021/4/21, p.164-165 )
「音の表現にこだわった」ため「サウンドノベル」といった新たなジャンル名を名付け、このジャンル名「サウンドノベル」が広まっていったことで「ノベルゲーム」や「テキストアドベンチャー」、「ビジュアルノベル」という新たなジャンルが生まれたと分かる。しかし、わざわざ新しい名前を名付ける必要性があったのか、九十年代中頃に作られた「ノベルゲーム」や「テキストアドベンチャー」、「ビジュアルノベル」といったジャンル区分に明確な定義があるのか、の二点に疑問を抱いた。そこで、まずは一点目の「わざわざ新しい名前を名付ける必要性があったのかについて調べてみたところ、それは当時のアドベンチャー界を揺るがす、非常に斬新なゲームシステムを取り入れたからだという事実が判明した。
象徴的なグラフィックを背景にし、画面全体にテキストを表示して小説のように読み進めていくタイプのゲームだが、効果的なタイミングで音楽を流したり、サウンドエフェクトを入れたりするなど、読み手の臨場感をいやが上にも盛り上げてくれるのが当時は非常に斬新な試みだった。
(ファミ通.com,『弟切草』がSFCで発売された日。ホラータッチの恐ろしい物語と“ピンクのしおり”にドキドキしたサウンドノベル【今日は何の日?】URL, 2022/3/17)
上記から『弟切草』を開発したメーカーによるこだわりや作風を反映するために「サウンドノベル」というジャンル名を名付けたのだと分かる。
さらにこの※²ジャンル名、実は『弟切草』というゲームを制作した株式会社、スパイク・チュンソフトが2001年に商標登録をしているのだ。ここから「サウンドノベル」に取り入れられたゲームシステムは、他のゲーム会社が真似したいと思うほど画期的だったのだろうと推測できる。
しかし、「サウンドノベル」という名称は商標登録されているため、他の会社は名乗ることができない。そのため、唯一名乗れる商標登録をした会社、株式会社スパイク・チュンソフトだけは『弟切草』や『かまいたちの夜』、『428~封鎖された渋谷で~』といった人気作品を続々と発売していき、人気を博していった。
次に二点目の「九十年代中頃に作られた「ノベルゲーム」や「テキストアドベンチャー」、「ビジュアルノベル」といったジャンル区分に明確な定義があるのか」について調べていく。『Real Sound』には、下記のようにある。
プレイジャンルとしてゲーマー側との暗黙の合意のもと自然に形成されたものではなく、“制作・流通側主導で広まっているマーケティング上の区分”であるという色彩が強い(中略)ゲーマー側にはメーカーと専門誌などの共犯関係のもと(中略)制作側の意図通りに反応することが求められている
(Real Sound,乙女ゲームに潜む“ジェンダー規範”という問題 『ときめきメモリアル Girl’s Side』シリーズと海外の研究事例から考える URL, 2022/3/29)
そもそもメーカーや専門誌自体も明確な定義のもと定めた区分ではないことから、ユーザーにとっても「ノベルゲーム」や「テキストアドベンチャー」、「ビジュアルノベル」といったプレイジャンルの違いは明確ではないと分かる。しかし、今回の記事を通して私なりに意義のあるアドベンチャーの中でのジャンル区分について二点考えてみた。一つ目は「ゲーム性で区分されている」ということだ。サウンドノベルは2001年に株式会社スパイク・チュンソフトによって商標登録されている。そのためサウンドノベル自体はジャンルとして確立しているが、2001年以降に発売されたサウンドノベルと同じようなゲーム性の製品は全て同じジャンルとして確立されていると言える。
二つ目は「ユーザーがその区分からどんなタイプのゲームか把握できるかという区分の大きさがある」ということだ。ジャンル名は、メーカーや専門誌などがマーケティング上の区分をするために名付けているため、ジャンル名自体がゲーム内容を示しているものが多い。そのため、ユーザーはジャンル名を見てゲーム内容を予想していると考える。
※¹(ファミ通.com,『かまいたちの夜』がスーパーファミコンで発売。真冬のペンションで巻き起こる殺人事件が題材のサウンドノベルで、選択肢による多彩な分岐も話題を集めた【今日は何の日?】 URL ,2022/3/29)
※²( J-Plat Pat 特許情報プラットホーム, 商標照会 URL, 2022/3/13)
近年、人気のあるアドベンチャーゲーム
今までアドベンチャージャンルについて述べてきた。この話をもとに『ファミ通ゲーム白書2021』にある「2020年 アドベンチャー TOP30 」から近年のアドベンチャーの細分化や複雑化の実態について考察していく。
今回、調べていく上で新しい表現やジャンルを作っている作品は『ストーリーのつくりかたとひろげかた』にあるジャンル説明の一部
多くのフォロワーが九十年代中頃から続々と作られた。それらは大枠では「ノベルゲーム」や「テキストアドベンチャー」、「ビジュアルノベル」などと呼ばれている。(p.165)
(イシイジロウ, 『ストーリーのつくりかたとひろげかた』, 株式会社講談社, 2021/4/21, p.165 )
アドベンチャーゲームならば、パズルのような謎解き、RPG やアクションならば戦闘
(イシイジロウ, 『ストーリーのつくりかたとひろげかた』, 株式会社講談社, 2021/4/21, p.166)
プレイヤーとキャラクターが寄り添うようなコミュニケーション要素が強いシミュレーションゲーム
(イシイジロウ, 『ストーリーのつくりかたとひろげかた』, 株式会社講談社, 2021/4/21, p.204)
に書かれてある「テキスト」「謎解き」「アクション」「シミュレーション」を分析対象とする。
さらに、当てはまらないものは公式サイトの製品情報を見たり、共通するゲームシステムを一括りにしてジャンル名を名付けたりしていきながらテーマも分類していった。
2020年版 ゲームジャンルとテーマ別本数
(クリックで拡大できます)
※ピンクは2020年 女性向けゲーム TOP30にランクインしている製品、青は2020年 美少女ゲーム TOP30にランクインしている製品、白は女性向け・美少女ゲームのどちらのランキングにも入っていない製品を示す
※「アクション、シミュレーション」等ジャンルが混合する製品は、各々1ジャンルとしてカウントする
(『ファミ通ゲーム白書2021』,株式会社角川アスキー総合研究所,2021/7/15,p.97,115,117を基に著者作成)
表を見ると、「恋愛、テキスト」のゲーム本数が多いことが分かる。この「恋愛、テキスト」で分類される『オランピアソワレ』や『Collar X Malice for Nintendo Switch』といった作品の多くは、好きなキャラクターを一人選んで攻略していきながらストーリーをテキストで読み進めていくゲーム内容となっている。
また、『Detroit: Become Human (Value Selection)やLife is Strange 2』や『ブレア・ウイッチ』といったゲームは日本に輸入された製品である。これらの製品のゲーム内容は、緊張感を抱くような張り詰めた世界観のテキストを読みながらストーリーを進めていくだけでなく、オープンワールドを自由に動き回って探索できるアクション要素が混在しているものが多い。
『わんニャンどうぶつ病院 ペットを助けるだいじなお仕事』や『ピカピカナース物語 小児科はいつも大騒ぎ for Nintendo Switch』といったゲームは、子供が憧れる職業を疑似体験できるシミュレーションアドベンチャーが多くなっている。
このことからアドベンチャーの中に様々なジャンルが混在していることが見て取れる。そして同時に「テキスト」「アクション」「シミュレーション」といった初めに定めた軸のジャンルが多くを占めることも理解できる。
しかし、今までにない新しいゲーム要素の入ったアドベンチャーはまだ誕生していないのではないか。これからアドベンチャーTOP30の上位に入るような、ノベル要素やシリーズ化できるようなストーリー性を組み合わせた新しいアドベンチャーが誕生すれば、アドベンチャーゲームのブームが巻き起こる可能性もある。このような考えに至った経理由として、今までに述べてきたアドベンチャーの歴史やこれから述べていくアドベンチャー市場を支える女性ユーザーの存在がある。
女性支持の熱いアドベンチャーゲーム
表のピンク色は「2020年 女性向けゲームTOP30」、青は「2020年 美少女向けゲーム TOP30」にランクインされている製品を示す。色に着目して表を見ていくと、20作品の中の12作品は女性向けゲームが占めていると分かる。
「2020年 アドベンチャー TOP30」の大半を占める女性向けゲーム。ランクインしている女性向けゲームはどこの会社が開発しているのか、気になり調べたところ※「株式会社アイディアファクトリー」だということが分かった。しかも、3位の「遥かなる時空の中で7」、5位の「うたの☆プリンスさまっ♪All Star for Nintendo Switch」、27位の「囚われのパルマ Refrain デラックスエディション」以外の8作品は「株式会社アイディアファクトリー」が販売していたことから女性向けゲーム市場を大いに支えているのは「株式会社アイディアファクトリー」だと分かった。しかし、女性向けゲームという呼称が付くからと言ってユーザーが女性が多いとは断定できない。そこで、この会社のゲームユーザーは誰が多いのか調べたところ『アイディアファクトリーグループ総合サイト』には、下記のようにあった。
※(『ファミ通ゲーム白書2021』,株式会社角川アスキー総合研究所, 2021/7/15, p.97)
「薄桜鬼」シリーズは(中略)多くの女性ファンに支持され、ゲームの他にもTVアニメや舞台、ミュージカル、イベント、そして様々なコラボレーション企画など、バラエティ豊かな展開が注目を集めている人気コンテンツです。
( アイディアファクトリーグループ総合サイト,「薄桜鬼」シリーズ累計出荷100万本突破! URL, 2022/3/13)
『薄桜鬼』シリーズは多くの女性ファンに支持されていることから女性ユーザーが多いということが分かった。『薄桜鬼』は「2020年 アドベンチャー TOP30」の15位にランクインされており、近年でもアドベンチャー市場は女性が支えていると分かる。女性人気を保持し続けるためにはゲームの世界だけに囚われないバラエティ豊かなメディア展開をしていく必要があるようだ。
また、※2021年8月16日〜2021年8月25日に全国の10代〜60代のゲームユーザー男女に対して行われたゲームプレイ実態調査によると、シミュレーションゲームをプレイしているユーザー層は男性は26.5%、女性は35.1%という結果になっていた。
※(@DIME,コロナ禍で増え続ける女性のゲームユーザー、人気のゲームジャンルTOP3は?URL, 2022/3/13)
ここからもアドベンチャー市場を支えているユーザーは女性が多いことが分かる。さらに、女性向けゲームは「恋愛、テキスト」が大半を占めるため、この分野に特化した製品を女性向けゲーム市場に売り出すとアドベンチャー市場の売り上げがさらに拡大するだろうと考える。
これから売上の見込める市場
アドベンチャー市場のジャンル細分化の実態と市場チャンスがどこにあるのかを細分化に至るまでの経緯やメーカーによる独自のジャンル表現、そして2020年 アドベンチャー TOP30のランキングから需要のあるアドベンチャー市場について調べてきた。
今回の記事を通して、前半からは1982年にアドベンチャーが誕生してから、次々と影響された製品が人気を博していき「サウンドノベル」や「ビジュアルノベル」といった新たなジャンルが派生して生み出されていったことが分かった。
また、後半からはアドベンチャー市場は「恋愛、テキスト」で構成される製品をプレイする女性に支えられていることが分かった。これらを踏まえて、最後にこれからのアドベンチャー市場を担うのは誰か考察してみた。その結果、後程述べる近年「恋愛、シミュレーション」を組み合わせた製品が売り上げを伸ばしているという現状も考慮した上で、これからのアドベンチャー市場を担うのは、女性向けゲーム市場を支える女性だとした。
『ときめきメモリアル ガールズサイドの公式 Twitter』には下記のように述べてある。
「ときめきメモリアル Girl’s Side 4th Heart」は、多くのお客様にご愛顧をいただき、10万本セールスを突破いたしました。
(ときめきメモリアル ガールズサイドの公式 Twitter, ときめきメモリアル ガールズサイド URL, 2022/3/24)
この製品は女性向けゲームの「恋愛、シミュレーション」を組み合わせたものだ。※2020年 アドベンチャー TOP27 の女性向けで首位を獲得している『遙かなる時空の中で 7』でさえ18,951本しか売り上げていなかったため、「恋愛、シミュレーション」はアドベンチャー市場を拡大していく上で重要な存在になると考える。
「恋愛、シミュレーション」は、将来的にアドベンチャー界にとって本当に重要な存在なのか、検証するために『ときめきメモリアル』歴代売上本数を調べてみた。すると、美少女ゲーム市場の歴代製品の売上は※¹『ときめきメモリアル』545,525本、『ときめきメモリアル2』360,607本、『ときめきメモリアル3』105,170本と新しい製品を販売するたびに売上が減少していったことが分かった。一方で、女性向けは※²『ときめきメモリアルGirl’s Side』110,628本、『ときめきメモリアルGirl’s Side 2nd Season』163,943本、『ときめきメモリアルGirl’s Side 3rd Story』173,049本となっており、新シリーズになるほど売り上げが上がっていることが分かる。
よって美少女ゲーム市場の勢いは衰え、近年では女性向けゲーム市場の方が売り上げが上昇していると分かる。ゲームジャンルとテーマ別本数にランクインされていない、「恋愛、シミュレーション」を組み合わせた製品を支持する女性の存在から、アドベンチャーの女性市場はこれからも発展し続けていくと考える。これからアドベンチャー分野がどう成長し、変遷していくのか楽しみだ。
※¹(notable or ordinary, 歴代ギャルゲー売り上げBEST10をしらべてみたよ URL, 2022/3/28 )
※²(mono-iki,【ときメモGS4】祝10万本突破!昨今の乙女ゲームの市場から見えてきた10万本の凄さとは URL, 2022/3/28)